悪の華

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 世界文化遺産、富士山。その山麓に広がる都市があった。表向きは、文化科学技術振興育成の為に創建された事になってはいるが、本当の目的は悪の組織、筋肉帝国こと、インペリアル・オブ・マッスルに対抗する為に日本政府が組織した科学要塞学園都市である。  その学園都市の真ん中に主人公達の通う高校は位置しているのだが……。  高校の校舎の屋上で、二人の女生徒が都市の街並みを眺めながら話し合っていた。 「葵ちゃん……、そんなに嫌なの?」 「あぁ、ムカつくぜ、てめえがチームリーダーってのは納得いかないぜ……」  パイブルーこと、蒼流 葵(そうりゅう あおい)は青光りする襟首までのショートヘアを風に揺らし、食わえタバコを吹かしながら苦々しい顔つきで吐き捨てる様に答えた。 「い、一応、桜さんが決めた事だし……」  パイレッドの紅井茜(あかい あかね)がおどおどしながら答える。赤みがかった巻き毛のショートツインテールが小刻みに震えていた。細身の貧乳娘である、巨乳な葵とは正反対な体つきだった。 「てめえ、舐めンじゃねぇぞ!!、実力ならアタイの方が遥かに上だってんだ!!」  葵はそういうと、自分がくわえていたタバコを茜の口に押し込み、スラリとした長い脚を二度、三度鋭く上下に振り抜いた。  茜の口元のタバコは根元のフィルター部分を残して飛び散っていた。 「コレが実力ってものよ、今度舐めた真似しやがったら、てめえの顔面がこうなるってこと……」  圧倒的な力を見せつけられた茜は青い顔をして肩で息をしていた。 「私達は、チームなのよ、わかってくれないの?」 「チームワーク!?、あんなへっぽこ集団、アタイ一人で十分よ!!」  そう言い捨てると、葵はクルリと踵を返し立ち去っていく。 「あっ、葵ちゃん……」  その後ろ姿を茜は力無く見送るしか出来なかった。
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