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貴梨子は待っていた、ひたすら目の前にあるお菓子をパクパクと平らげながらひたすらに待っていた。 週末のイベント会場の控え室で貴梨子は葵を待ち続けていた。
(葵はん、信じてるで、絶対来てや)
貴梨子は心の中でそう呟きながら、昨日、葵が住む女子寮に彼女を訪ねて行った時の事を思い出していた。
「結構、距離あるやないの」
貴梨子はその肉感豊かな巨乳をタプタプと揺らしながら、うっすらと額に汗を滲ませ歩いていた、その体からは甘酸っぱい若い女性特有の体臭をほのかに匂わせていた。
「あー、やっと着いたわ」
「遅せえな、貴梨子っ!」
寮の入口で葵は、待ちくたびれた様子を見せながらも、笑顔で貴梨子を出迎えた。
「あー、疲れたわ葵はん、お腹空いてもうたわ」
「貴梨子は食い意地張ってるからなぁ」
見た目は、金髪紺碧、巨乳でグラマーな、まるっきり外国人の貴梨子だが、話す言葉はべたべたの大阪弁のギャップが激しい。
「貴梨子、アタイを説得しに来たんだろ?」
「葵はん、あんまり意固地にならんと……」
「意固地にもなるわ、裏でチョコマかと動き廻りやがって」
貴梨子の心配顔をよそに、葵は激しく憤りながら、多分、桜の事を言っているのだろ。
「桜はんも、いろいろ考えて動いてはるんよ」
「どうだかー、アノ人(桜)は、自分の事しか考えてないよ」
葵は、貴梨子の意見をばっさりと切り捨てる。 そんな、葵に貴梨子はある提案を投げ掛けた。
「わかりました、葵はんワテと勝負しておくんなはれ」
「はぁ~、勝負って、お前とか?、アタイの実力を分かって言ってんだろうな」
葵は、貴梨子を見下す様に眉を潜めて、勝負にならないといった感じで、肩をすくめた。
「葵はん、勝負は下駄を履くまで分かりまへんで!!」
キッと自分を見る、貴梨子の目に並々ならぬ決意を感じ取った葵は"仕方ないわね"といった態度で貴梨子に同意したのだった。
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