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独裁者がいた。政治や経済を動かす才能に長けた非常に優秀な人物だったが、その性格に大きな問題があった。傲慢で自己中心的な性格であり、少しでも自分の意に沿わない者がいれば問答無用で処刑した。ちょっとした、粗相でも怒り狂い、国会中継の真っ最中でも相手を斬り捨てるぐらいだ。
そんな独裁者の素行を外国のメディアは批難する。それでも、彼は無視して国の支配を続けた。独裁政治下であるが、国を良くしてくれるのならばと、国民の大半は納得した上で生活を続けていた。
しかし、その大半に当たらない人間は違っていた。独裁者の全てが気に入らなかった。あまりにも、人を簡単に殺めすぎではないか。日常的に人殺しをするような奴が、どうして裁かれず、政治を続けていられるのか。なんとかして、法廷の場に引き出せないかと、彼らはあれこれ、独裁者について調べて回るも、無駄であった。人殺しこそしてはいるが、独裁者は決して権力を自分の為に使おうとはしなかった。確かに殺される人間はいるが、その全ては何かしらの問題を行った人間であることが分かった。独裁者は秘密裏に、理由をつけ、問題が表沙汰になる前に処刑をしていたのだ。
「たちが悪い」と、不満を懐く者達は思っていた。もし、殺されてきた人間が善人ならば、国連を通じて独裁者を法廷の場に引きずり出せるというのに、彼には後ろめたいことが一切がない。これでは、いつまで経っても、独裁政権が続いてしまう。
ある時、独裁者は死んだ。しかも、暗殺で。あまりに、急なことに不満も懐いていた者達も呆気にとられたぐらいだ。
いったい、誰が独裁者を暗殺したのか。不満も懐いていた者達の誰かが?それとも、側近による反乱か?外国からの差し金によるものか?様々な憶測が国内で流れた。
一つだけ確かなことは、有能な独裁者が死んでしまったということだ。これまで、独裁政権の下で働いて国民達。指導者を失った今、国が他国と渡り合えるとは到底思えなかった。国が経済力で負け併合されてしまうのも時間の問題だった。
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