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ある時、独裁者が死んだ。しかも、暗殺で。これには、側近達も呆気にとられた。仲間内で、誰かが独裁者を殺してもおかしくない空気は流れていたが、誰も殺していないと言い張った。では、不満を懐く者達による暗殺か。それも、考えにくい。温厚な性格となり暴力を振るわなくなった独裁者を殺すとは思えない。
いったい、何がどうなっているのだろうか。
しかし、誰が独裁者を暗殺したのか。そんなことは、どうでもよかった。これで、二人目なのだ。またしても、有能な指導者が死んでしまった。ということは、またしても国に危機が訪れた。誰もが、今度こそ、国は終わりだ
。そう思ったはずだ。
今度も、問題はすぐに解決した。政府が新たな指導者を出してきたのだ。しかも、これまでの独裁者と同じ顔、姿をした人間を。
一度ぐらいなら影武者として、片付けられた話であるが、二度も同じ顔の人間が指導者として復活すると国民の名かにも不安に思う者達が出てきた。影武者が何人もいるとは考えられないからだ。
新たな独裁者も過去の二人とは性格が違っていた。乱暴者でも温厚でもなく、真面目一筋といった性格だ。国民にも側近にも公平な態度で臨んできた。当然のことながら、政治や経済を動かす能力はこれまでと同じく有能で影が落ちていた国の経済を立て直した。
国民は一応、喜びはした。その一方で、今回もやはり納得していない者達が現れた。公平に扱われるのが気に入らな者達だ。彼らは新たな独裁者を調べるも、不審な点は見つけられなかった。
どうしたらいいのかと、手をこまねいていると、独裁者は何者かに暗殺された。
そして、新たな独裁者の復活。同じ顔の人間が、今度弱腰な性格となって。これまでと、同様、優秀ではあったが弱腰な性格に誰かが頼りないと思っていると、また暗殺された。復活する。
不満を懐かれる。
暗殺される。
復活する。
異様とも呼べるサイクルが繰り返された。
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