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「今回は何日、保ちました?」
研究所で巨大な試験管を眺めていた政府の側近とは別の人間に科学者が聞いた。
「今度は、一ヶ月です。今回は海外の暗殺部隊による暗殺のようです」
「またですか。では、新たな独裁者が必要ですね」
科学者はそう言うと、試験管の前にあるボタンを押した。試験管の中につまったバイオ溶液が外に排出されると、試験管が開かれ中から独裁者が姿を現した。
「しかし、いつまで、これを続ければいいのですかね」
身体を洗浄した独裁者を箱に収めながら、科学者は政府の人間に聞いた。
独裁者の入った箱を引き取りながら、彼は言う。
「いつまでもですよ。今度は、少し頑固者の性格に調整してみますよ。性格を調整していけば、そのうち、何も知らない国民にも側近にも、外国からも受け入れられる人物になるでしょう。それなれば、もう誰も政治や経済をコンピューターが動かしていることなんかに気付かなくなりますから」
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