No.0

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『蘭ちゃん‥可愛いねぇ』 そお呟いて身体を舐めまわされて‥。 『蘭‥俺の女になれ』 そお呟いてあたしの性器を弄る‥。 『あぁ‥なんて綺麗なんだ!空ちゃん』 そお呟いて唇を重ねてくる。 『空ちゃんが僕の‥加えてるなんて‥!』 そお呟いてぐったりと果てる。 『翔子、なめて?』 そお呟いてパンツを下ろす。 『あぁ‥すげー締まってる』 そお言ってあたしに覆い被さる。 『ヤりたいんでしょ?』 そお言いながらあたしをベッドになげる。 『翔子‥おいで?』 そお言いながらあたしを引き寄せる。 『好きだよ。翔子‥』 そお呟いて愛おしそうにあたしを見つめる。 カツカツとさっきまで鳴らしていた 無駄に高いヒールを玄関に投げ捨てて 冷蔵庫に向かう。 冷蔵庫の扉を開け、迷うこと無く あたしは缶ビールを手に取り プシュッと音を響かせた後 一気に喉へと流し込む。 そして、鞄から煙草を取り出し 慣れた手つきで火を付け 煙を肺の奥まで吸い込んでは吐き出した。 …………ねぇ。 あたしはいつからこんなに なってしまったんだろう。 あたしは‥‥ 『蘭』でもない『空』でもない。 じゃあ‥本当のあたしはどれだろう?
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