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…貴方に逢えて本当に良かった…
華澄の真っ白な服は、すでに真っ赤に染まっていた。
綺麗に整えていた長髪は乱れ、赤黒く濡れて、絹のような頬に張り付いていた。
華澄は満足そうに辺りを見回す。
ーちぎれた肉片。
ー転がった頭。
…これは全て貴方の為にしたこと。
貴方が満足してくれるなら、それで充分。
貴方が望むなら、
もっと もっと…
貴方の眼差しが、優しく私に向けられる。
真っ黒なボサボサの前髪から覗く、真っ暗な深い瞳。
そして口から滴る、真っ赤な液体。
……私のが…欲しいの…?
…貴方の為なら…
自分の身だって…
人ではない貴方の唇に、優しく唇を重ねる。
そして顎から滴った血を舐めとる。
貴方の手が、
私の背中に回される。
長く鋭く延びた爪が肉に食い込む。
私は優しく微笑む。
そして足元にあった包丁を取りあげると、
ゆっくり、
自分の胸に押し込んだ。
何度も。
何度も。
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