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胡乱げに二人を見据えると、誉が髪をガシガシ掻きながら何故か呆れた眼差しで嘆息する…
「……あの、いくら旧知の仲と言えど、先ほどからの二人の態度に些か物言いたいことがあるのですが」
「お前… やっぱ自覚ねぇーな」
・・・は?
「みっちゃん、それ。本気で言ってたり、する…?」
ダメだわ、こいつ。と馬鹿にしたような物言いの誉に冷ややかな視線を送り、恐る恐る訊いてくる理玖… その二人の言動が分からず首を傾げていると、
「みっちゃんさぁ!前の学園にいたときの… 副会長モードになってるよー?」
……もしかして、気づいてない?
ひそっと耳に寄せられた理玖の口から発せられたその言葉に一瞬、頭が真っ白になる。
「は?何を言って…」
「みっちゃんってば、案外自分のことになると鈍いよねー」
鈍チン代表のあなただけには一番、言われたくなかったのですが。
「みっちゃんさぁー… ほら!前の学園で副会長やってたとき、普段は一人称を ” 私 ” って使ってたけど、ガチ切れしたときは一人称が ” 俺 ” に変わってたよねー?」
もしかしてー。ほんとに気づいてなかったの?
ひそひそ、と耳に寄せる理玖の口から出る言葉に目をパチパチさせる。
…は?なんて?
温厚な性格である私が?いや、そんなはずは…。
「………」
腕を組んで、顎先に手を添えて考え込む。けれど、やっぱりわからなくて首を傾げていると、しばらくの間そんなやり取りを見守っていた… 否、今まで傍観に徹していた誉から溜め息交じりの声が返ってくる。
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