2007,07/13 AM10:00

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「ほんとにこんな事になってしまって…。これからって時なのに。」 泣きながらそうつぶやく彼の母。 病室には彼の父もいる。 私の両親もいる。 私は彼のベッドの横に置かれた椅子に座ってうなだれていた。 体中に点滴のチューブや訳の分からない管をたくさんつけられて寝ている彼を見ていると涙が止まらない。 「…さぁ少し散歩にでも行こうか。少しは動かないとお腹の子に良くないから。」 父に手を引かれて病室をでた。 病室の外には医者と看護婦が立っていて私たちと入れ替えに病室に入っていった。 外はまだ雨が降っていて少し肌寒い。 父は暖かいココアをふたつ手に持ってひとつを私に差し出した。 「お前の面倒はお父さん達がみるから心配いらないよ。お腹の子が産まれる頃にはお前の旦那さんもきっと目を覚ますさ。」 そう言って父は自分の頬をなでた。父が嘘をつくときにする癖だ。 彼は目を覚まさないのだろう。これからずっと何年も眠り続けて子供が生まれてもきっと目を覚まさない。 「…ひとりだったら良かったのにね。」 「なにがだい??」 「お腹の子がいなくてアタシひとりだったら…彼の延命装置外して一緒に死んでしまえるのに…。」 「そんな…」 とても悲しそうな顔で私を見つめている。 「そんな悲しい事を言ってはいけないよ。きっと大丈夫だから。」 ただただ雨が降り続ける。私の涙のように。
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