1人が本棚に入れています
本棚に追加
私の定位置。
教室の一番後ろの窓際の机。
そこが私の席。
くじ引きなのに毎回そこなのだから、もはや仕組まれているようにしか思えない。
自分の席に座って本を読む。
今回の本の内容は恋愛もの。
最後のクライマックスのとこで私の集中は途切れる。
「ねぇねぇ。いっつも本読んでるけどさ、つまんなくないの?」
やけに明るく、朗らかに、私にそう話しかけてきた人工的な金色の髪をもつ男。
「今いいとこだから話しかけないで」
彼の顔も見ずにそういった。
だって声でわかるから。
その男は私の嫌いな人間。
金色の髪で、いつも周りに誰かがいて、常に同じ笑顔で周囲の人を惑わしている、最低最悪な男。
彼がいったいどんな表情で私の言葉を受け止めたのかは、彼の顔を見ていないからわからないけれど、“じゃあまたあとで話そうね”と声をかけられたから嫌な予感しかしない。
最初のコメントを投稿しよう!