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強打した鼻を手で押さえながら見上げると
目の前には大人が二人立っていた
顔を見るかぎりどうやら性別は二人とも男らしい
「お父さんだー」
「お父さんだー」
そう言いながら子どもがそれぞれの父のもとに駆け寄って行く
その光景を見て胸が締め付けられるような感覚を覚え
一気に寂しさがこみ上げてきた
「お父さんあのね
あの子空から降りてきたの
多分ね天士だと思うんだけどね
本人は違うって言ってるの」
「いやあの子は天士だよ
お父さん達は空から降りてくる彼を見てここに駆けつけたのだから
まさかそこにアテナとバリーがいるとは
ダメじゃないかこんなとこまできちゃ」
「俺たちも天士が降りてきたからここまで走ってきたんだ
遊んでたわけじゃないよ?」
「しかしだな・・・まぁいい
ここはじきに危なくなる
早く村に帰るぞ
さぁ君もこっちに来なさい」
そういいながら近づいてくる大人
何か危機感を感じた俺は
逃げるためすぐさま起き上がり走り出した
しかしまだ11歳
子どもの全力で走る速度など大人にかかれば朝飯前
すぐに追いつかれヒョイと肩に担がれた
「離せぇえぇぇ~!」
無我夢中で大暴れしたが
ガッチリと腕でロックされ抵抗ももはや意味をなさなかった
なんて馬鹿力だ
と思った矢先違和感が体を包む
冷たくて硬いこの感触
こいつら金属でできているのか?
この疑問を解くため
右の肘で顔を思いっきり叩いてみることにした
体を左に反り
「エルボーーー!!」
の掛け声と同時に左頬辺りに肘を打ち付けた
ガキーン!!!!
鈍い金属音が空気を振動させ
脳内に響きわたる
肘はビリビリとしびれと痛みを伴い
数分は使い物にならない感じだ
そんな分析をしているその時だった
宙に浮いたと思った瞬間地面に向かって加速する体
最高速度で芝生に激突した
「くっ・・・がはっ・・」
「おとなしくしてると思ったらこの天士が!
次やったら叩きつけるだけじゃ済まさんぞ!!
さっさと来い!」
そういって再度動く金属に担がれた俺は
太陽が沈む方向へと連れて行かれた
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