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その時、手の甲に、ヌルりとした感触があった。
ハッと、手を胸に戻し、感触のあった場所へ視線を向けると、そこには丸々に太った、一匹のデブ猫がふてくされたような顔でこっちを見ていた。
「ね、猫?!」
ニャー。と挨拶代わりと言わんばかりに、背中に顔をすり寄せてくる。
すごい弾力。
「わー!猫さんだー!!」
遊びから戻ったカナも猫の存在に気づいて、玄関先から弾むように寄ってくる。
「ちょ、ちょっとお母さん!この猫なにしたのー?」
丸々とした体格に、綺麗な毛並み。のっそりとした動きが特徴のデブ猫だ。図々しい顔付きが少し憎い。
「この猫はショウって言うのよ、あなたが結婚してすぐにお父さんが拾ってきたのよ。当時で成猫だったから、今では十分おじいちゃんね」
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