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『その前に、最後にイチがあなたに伝えたかった。明日へ繋ぐ者の意味をお話ししましょう』
気づくとそこにいるはずのイチがいなかった。もう、裁判へ行ってしまったのだろうか。
それでもティーアイは気にする事なく次の言葉を投げかける。
『あなたは、愛する恋人を亡くし、相当辛い思いをしましたよね?』
「うん。そりゃ...」
下を向くと、足元にはセミの死骸があった。
『世界中でその悲しみを知っているのは、ごく僅かな人しかいません。あなたを含めて』
「だから、何を言いたいんですか?」
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