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檻が中央の台座に置かれる。
ーーなんだこの違和感。
すぐにわかった。
檻の中にいるイチの様子が変なのだ。
数時間前まで、あんなに普通でいたのに、今目の前にいるイチは、檻に噛み付いたり、シャーシャーと睨みを利かすばかりだ。
牙と爪をむき出しにして、近くにいる天狗に襲いかかろうとしている。
「やめろ!イチ!僕はそんなイチを見たくない!」
つい立ち上がり叫んでしまった。
皆の視線が恥ずかしい。
「たいき君、落ち着きなさい。これは裁判では仕方ないことですよ」
隣にいた一つ目のおじさんに服を引かれながら諭された。
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