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どうやら、今目の前にいるイチは、普段のイチではないらしい。
使い魔として生きている者が裁判に処される際は、その能力や記憶を消された状態にされるという。
「どうして?それでは裁判にならないじゃないか?」
「イチはあぁ見えて、一つの神社を取り仕切る使い魔の一匹。もし、仮に本気を出せば、化けて逃走することも可能。そうなればそれこそ裁判にはならないのだよ」
書類をペラペラとめくりながら一つ目のおじさんは言った。
確かにそうかもしれないが、反論ができないのはあんまりだ。
そう言いかけた時には、裁判長から、開廷の法螺貝が高々に吹かれた。
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