599人が本棚に入れています
本棚に追加
/268ページ
そんなことを思っていると、会場から笑い声が漏れた。
傍聴席で数人、笑った。
僕にはそれが何より許せなかった。
ーーこいつらは、裁判もさやかもイチも関係ないんだ。ただ、目の前で誰かの無残な結末を見たいだけなんだ。
次第に身体中から汗が吹き出てくる。
ーーそうだ、ここは現代でも、地獄でも、天国などでもない。だからこそ、生きるか死ぬかの世界が見える。
彼等からしてみればここは娯楽場ということなのだろうか。
『静寂にっ!!傍聴席で次、口を開いた者には地獄への片道切符をさしあげよう!』
瞬時に無音と化す。
僕も鳥肌が立った。
最初のコメントを投稿しよう!