3 ようこそ、地獄の裁判へ

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どうやら図星のようだ。完全に目が泳いでいる。 なんてこった。 弁護士がいない裁判なんて、コーンフレークをハシで食べるようなもんだ。よくわからないけど。 だとしたらイチが危ない。 ーーこういう場合、僕が弁護に廻るのはどうだろうか。いや、無理だろうな。原告だもん。 『弁護は、なしか?』 裁判長のハンニャ天狗もイライラしだした。 これではイチが拷問へ送られてしまう。 しかし、 「裁判長、私ではダメでしょうか?」 嫌な空気を断ち切るようなハッキリとした声が場内にこだますと、傍聴席の後ろにある銀色の扉が開く。 そして場内へなだれ込んできたのは陰陽師のような格好をした、50代くらいの男だった。 見た目は普通の人間のように見えるが。
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