3 ようこそ、地獄の裁判へ

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「小巻!?何故だ?何故お前がこんな場所に」 驚き、身を乗り出した三輪の親父は謎の陰陽師の前へ飛び出すとそう言った。 「三輪よ、主の為ではない。私はタマ子の借りを返しに来ただけぞ。うちの巫女の笑顔を取り戻してくれたのだからな」 それだけ言って、メガネの女の子に向かいトンガリ帽子をヒョイと上げて見せた。 「さぁ、裁判長。私がイチの弁護人になろうぞ。どうか承認を求む」 ーー何がどうなって、誰が誰で。よくわからなくなった。 ハンニャ顔はさらにしかめっ面を強くし、この出来事が納得出来ないようだった。 『竹駒神社の先神、小巻。そなたが妖猫に加担するとなると、使い魔の妖狐が黙っておるまい?』 あの人、竹駒神社の神?よく初詣に行ったことがあった。 格好からも言動からも小巻さんのほうが神様っぽい。三輪に比べたら月とスッポンだ。
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