3 ようこそ、地獄の裁判へ

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「左様。うちの妖狐はなかなかの頑固者達でね。しかし、今回ばかりはそんな妖狐達も承諾済みぞ。よほどあのユキコなる巫女の笑顔が嬉しかったのだろう」 ニッコリと笑う表情に少し安心してしまう。さすがは、日本三大稲荷の一つ、竹駒神社の神。心強い。 裁判長は、両側にいる妖怪達を一瞥すると頷いて小巻の弁護を受け入れた。 小巻はすぐに回答書の読み上げに入った。 やはり、無駄のない内容だ。 『では、次に。被告、原告への質疑に入る。まずは原告前へ』 一瞬、原告と言われ気づかなかったが、僕のことだった。 皆の視線が集まる中、中央の台座に立つと妙なプレッシャーと緊張が襲ってくる。 正面から見る裁判長の顔はさらに恐ろしいものがあった。
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