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どんなに目を擦っても、目が滲んで前が見えない。
こんな恥ずかしいくらい泣いたのは生まれて初めてかもしれない。
グシャグシャになった顔を上げ、やっと出た声があった。
「カナに、カナに会いたいっ!」
結局そんなことを連呼するだけで、あとはずっとワンワンと泣き続けた。
『孤独感からくる育児疲労。一瞬の迷い。ひとみさんは今ここでその過ちに気づきました。どうします?それでもまだ電車に乗りまスか~?』
イタズラのようなティーアイの質問は私には愚問だった。
「帰る」
私はそうハッキリ口走しると、それを待っていたかのようにティーアイはニャーと鳴いてみせた。
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