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「神社、なのか?」 目の前に真っ赤に染まる鳥居が現れた。それはそれはとても大きな鳥居で間違いなく俺の何十倍はあるだろう。いくらなんでもこんなデカくて深紅の鳥居なんか見た事がない。 頭上部を見上げるといくつかの提灯が適度に並び、灯りを作っている。表面には「祭」と達筆で書かれ、存在意義を保っているようだ。 祭がやっているならと俺はそのまま、何も不思議に思うことなく流れに任せるように鳥居を後にした。 ーーこんな時間にお祭りってのも妙だな。俺が寝始めたのは23時を回っていたはずだ。 提灯の列を追い掛けるようにして行くと、何処からともなく聞こえてきたのは祭囃子。耳を傾けると、これもまた同じように音に引き寄せられた。 しばらく進み目を凝らすと確かに遠くのほうで祭のような盆踊りのような、人の活気を感じた。 俺は、ほんの少し駆け足になりながら祭へと踏み入る。
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