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歩いていくうちに白い発光体は形態を火の玉に変え、薄紫色した霧は何処かへ吸い込まれていく。 次第に広がっていく視界の中で景色を拝むと、驚くほど近くに『祭』があった。だか、普段見慣れている祭とはどこかずれている気もしなくはなかった。 焼きそば店を見れば、色鮮やかな猫のお面を付けた影が手際よく野菜を炒め、金魚すくい店を見れば、虹色をベースとしたキツネのお面を付けて華麗に金魚をすくう影がいた。 いや、いたるとこに色彩鮮やかなお面を付けた半透明な影が、人間のように祭を楽しんでいる。 「なんだよ、こりゃ、、」 影は俺を無視し、体まで通り抜けた。気味の悪さから経験したことがない吐き気が襲ってきたりしたのを耐え、話かけようとしたが向こうから全然俺が見えていないようで、何度もすり抜けられた。
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