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おじさんは少し残念そうに頭を掻いた。
毎年、化け猫、妖狐、化け狸、犬神族で争いをし、負けた動物をヤグラに祀ることで負の念を払う祭なのだという。
ーー妖祭?なんだそれ?
もしや、さっき見たヤグラの上にちょこんと乗っていたあの子猫が化け猫だとでも言うのか?
『子猫だろうが、化け猫を馬鹿にしちゃいけないよ。あのヤグラにいる猫はあれでも人間で言うとこの500歳だ』
ーー500!?
あの可愛らしい子猫が?
「あれ、でもなんで今俺があの子猫のことを考えたのがわかったんですか?」
『おいおい、油汗のおじさんを馬鹿にするなよ。伊達にメタボじゃない』
そう言うと黄ばんだタオルで額を拭いてみせた。
ーーこの人、何者?
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