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あの日から、三十年程の歳月が流れた。
カッペちゃんは今も元気なのだろうか。
俺は、人生の最後に、親友の笑顔を思い出した事を嬉しく思いながら、煙草を足元に落とした。
(俺の人生………捨てたもんじゃ無いな)
そう思いながら、再び、橋の手すりに手を掛けた。
その時だった。
「…………ンちゃん……たすけてー」
自分の心臓の音が聞こえそうな、静寂と緊張の中で、俺は微かな呻き声を聞いた。
驚いて辺りを見渡したが、誰も居ない。
(空耳か?)
そう思ったものの、俺は確かに呻き声を聞いたのだ。
更に辺りを見渡すと、数メートル先の路上に、三十センチ程の大きさの緑色の物体が落ちている事に気が付いた。
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