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橋から水面までは十メートル以上。水深は五十センチ程度である。
おそらくは
これで人生の幕を引ける筈……
俺は手すりに掛けた両手に力を込めた。
「………おっ!!」
一瞬、飛び降りる事に躊躇したが、それは死を怖れたわけではない。水面を渡り、顔に吹き付けた風が、あまりに心地良かったからだ。
夏の暑さと、アルコールで火照った身体を、風が優しく、くすぐった。
(…………最後に一服するか)
俺は手すりから手を離すと煙草に火を点けた。
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