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俺は、小学校に上がる少し前まで、過疎の村で生まれ育った。
村にいる子供は俺一人。
遊び相手のいない俺は、カブトムシを捕まえたり、川で釣りをしたりと、毎日、日が暮れるまで野山を駆け巡る自然児だった。
川渕の主の大ナマズを捕まえたくて、夕方に仕掛けを仕掛けては、早朝に成果を確認しに行くのが、当時の俺の日課だった。
夜中に大雨が降った日の翌朝。
仕掛けたテグスに、確かな感触を感じて喜んだのもつかの間……
大ナマズにテグスを引っ張られた俺は、ぬかるみに足を取られ、増水した川に落ちてしまった。
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