カッペ SUMMER 2013

5/37
前へ
/37ページ
次へ
俺は、小学校に上がる少し前まで、過疎の村で生まれ育った。 村にいる子供は俺一人。 遊び相手のいない俺は、カブトムシを捕まえたり、川で釣りをしたりと、毎日、日が暮れるまで野山を駆け巡る自然児だった。 川渕の主の大ナマズを捕まえたくて、夕方に仕掛けを仕掛けては、早朝に成果を確認しに行くのが、当時の俺の日課だった。 夜中に大雨が降った日の翌朝。 仕掛けたテグスに、確かな感触を感じて喜んだのもつかの間…… 大ナマズにテグスを引っ張られた俺は、ぬかるみに足を取られ、増水した川に落ちてしまった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加