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同じクラスになった事もないし、委員会や選択授業でも一緒になった事もない接点のない男だけれど名前は良く知っている。
弓道部の副部長を務めるこの男はその実力も然ることながら、むさくるしい男子校でその見目麗しさが注目を集めている男だ。
だが、いくら整った顔立ちだとしても体格はどこから見ても男だし、なよなよしたところや女っぽいところも見当たらない兵藤を陰で“将爾姫”なんて呼んでいる奴がいるらしいと聞いて正直気持ち悪いと思っていた。
興味もないのでそれ以上の話題は聞いたことがないが、思わず漏れてしまった声に極まりの悪くなった俺は兵藤の前に跪いて再度声を掛ける。
「おい、どうした?気分が悪いのか?」
「そう思うならデカい声を出すな。」
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