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「触るな…」
吐き出すように紡がれた言葉は聞こえなかったフリをして、組んだ肩を持ち上げる様にして歩き出すと兵藤は舌打ちをしながらもヨロヨロと歩き出す。
男のくせに汗臭さはなく、逆にシャンプーの微かな匂いが鼻腔を擽り“確かに取り巻きがいてもおかしくないな”と頭の片隅で思う。
だが、骨ばった身体はどう考えても男のものだ。
周りが暑苦しい野郎ばかりだと頭が沸いてくんのかな、と下らぬ事を考えながら保健室を目指す。
「先生、いるのか?」
漸く辿り着いた保健室の扉を乱暴に足で開けて中を覗き込む。だが保険医の姿は見えず、そのまま兵藤を引き摺るように中に入り簡易ベットのカーテンを開けた。
兵藤をベットの端に座らせて、寝ろよと声を掛けたが動くのも億劫なのかヤツはそのままネジが切れたように動かない。
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