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「なーんで、てめえがいるのかな ?しかも、血がついてるし…悪党 ですか?なーんてね」 梅雨が刀を抜いた。 先ほどと打って変わり、その表情 は侍の顔を除かせていた。 そんな梅雨に彼は笑うとナイフを 構える。 「闇 解放 俺様に切られな、天下りが」 「ヤれるんならな、後輩」 重苦しい音が人気のない場所に響 いたのだった。 響く、響く、闇夜に響く音。 それに彼は笑い、笑い、笑い続け る。 「影はひとつじゃないんだよ?闇 さん。影はいつだって複数で、け どひとつなんだよ?」 「つまり複数に見せかけた1人って 言いたいのか?」 「正解だけどハズレ 影は影だけど影じゃない わかるかな?」 ギンッ!と一際大きな音が闇夜に 響いた。 「めんどうだが、わからなくない 。つまりお前は影じゃない…が、 黒には違いない」 「やぁやぁ、すごいよ ここまで理解するなんてさ 君は何者だい?」 「言うかよ…終始影を踏んで、コ ントロール図ろうとする奴に さっきの奴にもそれだろ?“影" 」 梅雨が睨み付ける中、しかし、彼 は怯まず、ヘラリと笑っていた。
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