第弐章

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―――望月美咲が屋上から飛び降り自殺をした。 この事が全校生徒に知れ渡るにはそう時間が掛からなかった。 屋上から飛び降りた時にどうやら頭から落ちたようで、頭から止めどなく血が溢れ、少し頭の形が変形していたらしい。 俺を除いた場合の第1発見者である女子生徒はあまりに悲惨な状態の美咲を見て悲鳴をあげたほどだ。 しかも、その女子生徒は美咲と同じクラスらしくクラスで美咲の死を告げられた時、号泣したと俺の親友は言っていた。 その女子は美咲と仲が良かったのか? もし仲が良かったのなら、美咲がどうして自殺したのか知っているかもしれない。 もしそうならば、聞いてみようか。美咲の事を―――しかし、聞いてどうする? 俺は一体何がしたいんだ? 確かに、俺と美咲は幼い頃からとても仲がよく、まるで兄弟のようだと言われることもあった。 しかし中学、高校にもなると自然と距離が離れてゆき、昔の様に美咲と俺は話すこともできなかったのである。 それなのに今更俺に何ができる? 周りの人間から冷やかされるのが嫌で、恥ずかしくて美咲と距離をおいてしまった俺が。 美咲との関係を自らの手で壊してしまった俺が。 美咲がどうして自殺したのか、そして自殺に追い込まれるほど苦しんでいたのを分からない俺が。 一体何ができる?何がしたい? 分からない、分からないのだが動かなければならないのだ。 美咲の為に―――。 せめてもの罪滅ぼしとして、 美咲がどうして自殺したのか解明し、その原因を潰す。 そう、心に決めたのだった。 その為にはまず、第1発見者である彼女の元へ行こう。 何かが得られるかもしれないからな。
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