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皆は隣の人と楽しく喋っているなか、静かな組が一組。
「…………」
「…………」
二人は口を開こうとせず一人は本を読み、一人は本を読んでいる隣を見ていた。
「………おい。」
男子のほうから先に口を開いた。
「…はい。」
女子は本から視線を上げ、男子を見た。
「知ってると思うけど、俺は北沢真宏。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
女子は簡単な返事をして本に視線を戻した。
「……っ、おい、市原!市原美夜!」
「なんですか?」
女子……市原美夜は再び北沢の方を見た。
「なんですか?じゃねーだろ。お前も自己紹介ぐらいしたらどうだよ。」
「名前を知っているのに自己紹介なんて必要ないでしょう。」
確かに、という渋い顔をする北沢。
だが北沢も負けずに反論する。
「いやでも礼儀とゆーか、なんとゆーか、自己紹介と挨拶は必要だろ!」
「市原美夜です。よろしくお願いします。」
「………あのなぁ。」
淡々とした口調でそういったあと市原は本に目線を戻した。
北沢は何か言おうとしたが友達の狐下涼に邪魔をされた。
「まあまあ、真宏。お前わかってんのか?」
狐下は真剣な顔をしてこう言った。
「市原は妖怪なんだぞ。それも鬼神の生まれ変わり。大人達はともかく、皆から嫌われてるんだからな。あいつといたらお前まで何かされんぞ。」
北沢はしかめっ面をして言った、
「中学の時はそんなに考えてなかったけど、妖怪だからって嫌う事ないだろ。市原だって好きで妖怪として産まれてきたんじゃないんだ。」
狐下は複雑な表情をした。
「…俺だって仲良くしたいんだ。悪い子じゃないし、優しいし、でも女子が怖いんだよ。お前だって女子怖いだろ。」
まぁ、そうだけど………と呟く北沢。
「仲良くしたいけど、でも無理なんだ。」
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