第二訓 『風が強い日は大抵向かい風』

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『・・・行ったか』 玄関のドア越しでふぅと溜め息をつきリビングに向かう。 部屋は薄暗くよく見えない。当然だ、と彼は思う。何せ 『カーテン締め切ってるからな』 そう呟き椅子に座りテーブルの上に用意したパンをつまみつつテレビをつける。 しかし彼が望むような番組は無く (まぁどうせ朝は朝ドラか教育番組しかやってないよな) と適当に教育番組を流しながらパンを口に運びミルクティーを飲み一息つく。 そして完全にのんびりとした彼は自分の胸の辺りにある二つの「膨らみ」を見て呟いた。 『そろそろマジでどうにかしないとマズイな』 そう、彼はまだ彼女だったのだ。最近休んでいたのもこのせいである。 あのあと、フェイト達の活躍により封印したまでは良かったのだが家に帰っても1日経っても寝ても覚めても彼女は彼に戻らなかった。 『ったく・・・何で封印されてんのに効果持続してんだよ・・・てかマジで体の構造事態変わってんじゃねーだろうな』 笑えもしない冗談を口にしながら食器を洗い片付けをした後、二階上がり天窓のある部屋へと向かい天窓を開け呟いた。 『おいで、カーくん』 すると天窓からエメラルドの綺麗な毛並みをし、額に紅い宝石をつけたリスのようだが大型犬並に大きい不思議生き物が入ってきて、雀にダイブした。 カーくんと呼ばれた不思議生き物に押し倒される雀だがヨシヨシと満面の笑みでじゃれあった後、額のルビーに手を当て 『さて、どうだった?』 と目を閉じて呟く。 この不思議生き物の名前は「カーバンクル」、雀の呼び出した「召喚獣」である。 そして彼女が今やっているのはカーバンクルとの「意思の共有」でカーバンクルが見てきたものを見ることが出来る。 そして・・・
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