第二訓 『風が強い日は大抵向かい風』

13/22
前へ
/246ページ
次へ
(さてさて、あんなクールにキメたのはいいものの・・・) 窓の外をぼーっと眺めながら雀は考えに耽る。 (ハーレム転生者が出てくるのは別に構わないけどさ・・・) グランドでは例の天我殿がご自慢の身体能力を堪能している。お陰様で女子からは黄色い歓声、男子からは嫉妬の嵐だ。 (それはやり過ぎだわ) と溜め息をつく。 (これは流石にめんどくさいわ。俺ヤダよ?何年間もこんな空気の中で過ごすの) (そもそも何で戦国時代突入してんの?俺病み上がりだよ?ちっとは休ませる気ないの?) とそこで一旦区切り雀は教室の中を見渡す。授業中にも関わらず女子も男子もグランドをガン見している。 まぁ一人だけ例外はいるが・・・ (しかしこんなにモテて何がしたいんだか・・・こっちの迷惑も考えろよ。早く元に戻してくれねーかなー300円あげるから) 本当は色々交渉等したいが如何せん、エーカーが言うには相手が男子だとガン無視を決め込むらしいのでのっけから話にならない。 そして溜め息をもう一度つき、頬杖をしながらグランドの様子を見て思う。 (アイツもやっぱ自分から戦いの場に出向くんだろうな・・・) 何の為に自分の身を危険に晒すのか、晒してまで戦う意味はあるのか。 雀はその授業の間ずっと黄色い歓声を浴びる彼を見つつ考えていた。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

237人が本棚に入れています
本棚に追加