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「……さて、どこに行こうか……」
「宛無いのかよ……」
「じゃあマスターが決めてくれ」
「……じゃあ、あそこ行くかな」
「……あそこ?」
「いつもの所だ」
今度は俺がネロの手を引いて歩き出した。
10分ほど歩いて目的地に着く。
「なんだ、ゲーセンじゃないか」
「暇な時はゲーセンだ」
「まぁ、マス……大地らしいと言えばそうだが」
ゲーセンの中に入る。
足は自然と武装神姫のコーナーに向かった。
「どうだ?その高さからのバトルは?」
「……正直、驚いたな。まさか自分が戦っていた場所がこんなに小さいとはな……」
「がっかりしたか?」
「いや、小さくともあたしにはそれが相応しい舞台だ。胸を張って戦うさ」
「……もし戻れなかったら?」
戻れないというのは勿論神姫の体にだ。
「バトルの観戦でもするさ。その時はまたここに連れていってくれよ?」
「そんぐらいなら御安い御用だ」
「……さて、せっかくだからバトル以外のゲームも見てみたいな」
「んーじゃ、クレーンゲームでもやるか?」
ゲーセンを歩き回り、適当なクレーンゲームを見つける。
「さて、何欲しいよ?」
「そうだな……あれかな?」
ネロが指差したのは10センチほどデフォルメされた猫のぬいぐるみだ。
「おし、任せとけ」
コインをいれ、ゲームを始める。
適当に狙いをつけた位置にクレーンを持っていく。
クレーンがゆっくりと降下し、ぬいぐるみを掴む。
一瞬、2、3個のぬいぐるみを掴むが不安定なぬいぐるみはすぐに落下していった。
最後に残った黒猫のぬいぐるみが取り出し口の真上まで運ばれ、やがて落下する。
「おぉ、やるじゃないか」
「どや」
ネロが嬉しそうに取り出し口のぬいぐるみを取り出し、もの珍しげに眺める。
「これだけで人間になって良かったと思えるよ」
「そりゃどーも」
ネロがにっこりと笑う。
「ありがとう、大地」
「……さ、さて、そろそろゲーセンも出るかぁ」
「そうだな……あぁ、ちょっと待て大地」
「なんだよ」
ネロが隣に立ち、再び俺の手を取る。
「これで良し」
「…………」
嫌な訳じゃないが、何故か溜め息が出た。
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