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そりゃそうか。
私はそのまま早足で連れていかれる。
繋がれた手が恥ずかしい。
センパイとは違う手にドキドキした。
ただ、今の私にはこの大きな手の温もりが本当にあったかくて、泣きたくないのに涙が出てきた。
「うぅっ…」
「泣き止んだのにまた泣くのかよ。はぁ…」
大きなため息が聞こえたけど、山上さんの手がぎゅっと少し力を込めて、私の手を繋ぎ直してくれた。
「寂しかったんだろ?泣くだけ泣いたら、地元の友達にでも電話してみな?気分も変わるんじゃない?」
「でもっ…みんな忙し…いかもっ…うっ」
「バカだなぁ。そんなのかけてみないとわからないだろ?いいから泣き止んだら電話してみること!なっ?」
気付いたら家の前に着いていた。
「頑張れよ、女子高生」
繋いでいた手が離れて、その手に小さなクッキーの袋を渡された。
「これ」
「ん?それ現場でもらったけど、ウサギにやるよ。」
…明かにこれは手作りクッキー。私がもらっていいのかな?
「お前にやるっていってんだから、ありがたくもらっとくこと。」
私の思考がバレていたのかそう言うと、山上さんは自分の部屋の鍵を開けて部屋に入っていった。
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