変化

9/19
1604人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
そりゃそうか。 私はそのまま早足で連れていかれる。 繋がれた手が恥ずかしい。 センパイとは違う手にドキドキした。 ただ、今の私にはこの大きな手の温もりが本当にあったかくて、泣きたくないのに涙が出てきた。 「うぅっ…」 「泣き止んだのにまた泣くのかよ。はぁ…」 大きなため息が聞こえたけど、山上さんの手がぎゅっと少し力を込めて、私の手を繋ぎ直してくれた。 「寂しかったんだろ?泣くだけ泣いたら、地元の友達にでも電話してみな?気分も変わるんじゃない?」 「でもっ…みんな忙し…いかもっ…うっ」 「バカだなぁ。そんなのかけてみないとわからないだろ?いいから泣き止んだら電話してみること!なっ?」 気付いたら家の前に着いていた。 「頑張れよ、女子高生」 繋いでいた手が離れて、その手に小さなクッキーの袋を渡された。 「これ」 「ん?それ現場でもらったけど、ウサギにやるよ。」 …明かにこれは手作りクッキー。私がもらっていいのかな? 「お前にやるっていってんだから、ありがたくもらっとくこと。」 私の思考がバレていたのかそう言うと、山上さんは自分の部屋の鍵を開けて部屋に入っていった。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!