彼女の想い

15/22
前へ
/39ページ
次へ
「…お前、本当に あの子でいいのか?」 「…どういう意味ですか?」 首を傾げた俺に 栗田さんはひとつため息を吐く。 「お前なんだかさ… すげー疲れてるだろ。 それって彼女と 暮らし始めたからじゃねぇの?」 何も言い返せなかった。 一人暮らしが長かった俺が 千夏と暮らすようになって 毎日家で食事を作るとか そういう事に時間を取られて 生活のリズムが狂ったのは確かだ。 35歳にもなると 少しずつ体力も落ちて来て 回復するのにも時間が掛かる。 「若い嫁は…苦労するぞ」 ポツリと呟いた栗田さんも そう言えば嫁さんと11歳差だっけ。 「栗田さんは若い嫁で 苦労してるんですか?」 俺の質問に栗田さんは フッと小さく笑って スコッチを飲み干した。 「大変って言うより… 難しい…かな」 「どんな事がです?」 千夏と同じで家事が出来ないとか そう言う言葉が返って来ると 思っていたのに、 栗田さんが吐き出したのは 全く予想外な言葉だった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2983人が本棚に入れています
本棚に追加