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「ユキくん…怒ってる？」
半分だけ開いたドアから
やはり半分だけ顔を覗かせた
彼女が、か細い声で呟く。
でも今千夏と話したら
たぶん俺、暴言吐きそう。
布団を頭まで被って
とりあえず無視。
もめ事なんて大嫌いな
平和主義の俺にとって
これ以上自分が怒りを
あらわにするのは嫌だったのに。
「気に入らない事があるなら
言えばいいじゃん」
ポツリと呟いた千夏の声が
耳に聞こえて一気に
メーターが振り切った。
ムクリと起き上がった俺と
ドアの影で構える千夏。
飛び交うのは微かな火花。
「お前さ…。
朝帰りするなら一言くらい
連絡ってものが出来ないのか？
今までずっと我慢して来たけど
何でも俺が許してくれるなんて
思ってんじゃねぇよ。
一緒に暮らしてるんだから
心配だってするし、
って言うかそれ以前に
心配しないでって連絡するのが
常識じゃねぇのか？
家事が出来ないのは
仕方ないにしても
最低限のマナーくらい
言われなくても考えろよ」
…あぁ…
言っちまった。
こんな細かい事言うような
俺じゃなかったはずなのに。
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