彼女の想い

22/22
前へ
/39ページ
次へ
…何も言えなくなった。 じゃあ千夏は… 俺に叱って欲しくて わざと朝帰りをした? 「何も我慢なんてしなくて いいからどんどん思った事を 私に言って。 悪い所は頑張って直すし 家事も相変わらず上手には 出来てないけど… せめてユキくんに負担を かけないくらいになれるよう 頑張るから。 そのままの小野幸哉で 私と向き合って」 ……完敗だって思った。 9歳も年下の千夏の方が 俺よりずっとずっと 大人なのかもしれない。 朝日奈との件もそうだし 今回の事も、千夏は いつだって俺だけを 思っていてくれた事を 理解出来ていなかったのは 結局俺で。 本音を言えない俺の性格を きちんと見抜いている彼女に 完全に負けたと思った。 だけど… 千夏の荒療治はさすがに キツイやり方だ。 俺にとっての千夏は かけがえのない存在だと 改めて思うけど…。 それとこれは別。 「千夏ありがとう。 だけど朝帰りのおしおきは 覚悟出来てんだろな?」 「はいっ?」 「お前が俺におしおきするなんて 100万年早いんだよ」 「はぁぁっ?」 …こんな俺ってガキ臭い事を 言うようなヤツだったっけ? なんて疑問を感じていても たぶん、これも本当の自分。 目をまん丸くして 驚いてる千夏の姿に 微かに口角を上げて。 力づくで彼女を捕獲して 後は俺の思いのままに。 彼女が抵抗出来なくなるまで 俺の腕の中で弄んでやった。 …やっぱ俺って… 歪んでんのかも…? なんて思いながら。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2983人が本棚に入れています
本棚に追加