新たな地へ

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それからの千夏は、 本当に努力をしてくれて 苦手だった料理も人並みに 作れるようになり… まぁ掃除とかはイマイチなままだけど。 栗田さんが言ってた ジェネレーションギャップは 確かに感じる事も時々ある。 それでもなんだかんだと言っても 俺と千夏はうまく行ってると思う。 彼女にだけは言いたい事を 言うようになって 時々喧嘩もするようになった。 まぁ… ほとんどは俺が折れて終わるけど。 そして季節は寒い冬を越え 桜の蕾が緩み始めた3月の終わり。 俺と東雲の2年間の努力の集大成、 デザインコンペの当日を迎えた。 香港支社からデザイナーを 引きつれて帰国した東雲は 会場に入って来るなり 皆の前で堂々と前島さんを 抱きしめていて。 恥ずかしがりな前島さんは 容赦なく東雲のみぞおちあたりに 拳をねじ込んでいる。 この二人がまた寄り添えるように なるために… そして俺と千夏の未来にも 明るい陽射しが差し込めるように そんな願いが叶う事を祈りつつ 正面に設置されている 巨大スクリーンを見つめていた。
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