新たな地へ

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次々と発表されて行く 本社デザイナー達の作品も それなりにいい成績を 収めてくれているし、 予想外にも橋本がプランナーで ありながら好成績を収め 前島さんが初めてこのコンペで 優勝したあの日の記憶が蘇る。 あの時の冬木さんの自慢げな 表情と今の俺の表情って もしかしたら同じなのかな? そんな事を思いながら 小さく笑って。 相変らず後ろでセクハラ発言を してる橋本だけど、 前島さんが東雲と結婚して この仕事を辞める日が来たら これからのプランニング課を 背負って立つのは間違いなく 橋本だろう…。 けれどコンペの結果は 意外にも東雲が大切に 育て上げて来た美杏が優勝という 結果で終わった。 美杏に負けた事が よほど悔しかったのか 橋本はすっかり攻撃的な瞳を 彼女に向けていて。 「二度と日本に来んといてや」 「言われなくても来ないわよ」 一触即発状態の二人は 前島さんと千夏に任せて 俺と東雲は重役が集まっている 最上階の会議室へと向かう。 「いよいよだぞ、東雲」 「ええ、さすがに緊張します」 小さく笑った東雲に 俺も微かに笑みを浮かべて頷いた。
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