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最上階の会議室の扉の前。
俺と東雲は無言のまま
頷き合ってその扉をノックした。
「入りたまえ」
聞こえて来たのはたぶん
専務の声。
重厚な扉を開いたと同時に
一気に襲って来た重い空気が
俺と東雲をねじ伏せようとする。
けれどここまで俺たちが
努力して来た事実は、
数字となり、結果となり
目に見える形となった。
俺達の未来のため…
この会社に働く社員
みんなのため…
ひとつ深呼吸をしてから
俺はその思いを
巨大な壁に向かって投げつけた。
「…やりましたね…
……小野さん」
会議室から出た東雲は
そう呟くとホッとしたように
穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ…
これでお前はまた前島さんと
一緒に仕事が出来るし、
俺も千夏と共に新たな地で
生きて行く事が出来る。
だけどさ、東雲に
ひとつだけ頼みたい事がある」
俺の言葉に東雲は
立ち止まって首を傾げた。
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