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躰から始まった
俺と千夏の恋。
歪んだ思いを
重ね合った肌のはずが
いつしかお互いに
誰よりも大切な存在となって
今を共に生きている。
見失ったIdentityは
彼女がいたから再び見つけ出せた。
これを運命と言わずして
何と言えばいいのか。
「千夏、愛してるよ」
そっと耳元で囁けば
プクッと膨れた彼女の頬。
「もうユキくんってば
何回言ったら分かるの?
そういう言葉はね」
「もっとムードのある所で…だろ?」
「分かってるなら言わないの!」
膨れたまま広東料理のレストランに
入って行く千夏に引かれて
俺も笑いながら店に入って行く。
なぁ東雲。
お前の気持ちが
何となく分かったよ。
好きになれば好きになるほど
虐めたくなるのが
俺とお前の性格らしいな。
どうりでお前と俺は
気が合う訳だ。
料理を頼んで待っていると
鳴り出した俺の携帯。
着信画面にはお待ちかねの
東雲の名前が表示されていて。
微笑みながらそれに答える。
「よぉドSな東雲遥斗君」
『はぁっ?』
「中環でメシ食って
待ってるから早く来いよ」
『隠れサディストの小野幸哉さん
了解ですよ』
返って来た声に
また肩を揺らして笑った。
やっぱコイツは永遠の
ライバルだなと思いながら。
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