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「小野さん、
なかなか似合ってますね」
白のロングタキシードを
羽織った俺を見つめながら
冷やかしたような目で言った
東雲に若干ムッとしつつ。
「そういうお前だって
来月にはこれ着るんだろ?」
「いや、ウチは神前式なんで
紋付き袴ですよ」
「…神前式かぁ」
きっと前島さんの白無垢姿は
綺麗なんだろうなぁ…なんて
思いながら小さく笑う。
「ところで香港の生活には
もう慣れましたか?」
「ああ、おかげ様で。
相変らず美杏と千夏は
犬猿の仲だけどな」
俺の言葉に東雲は
肩を揺らして笑っている。
だけど俺にしたら
笑い事じゃないんだけど。
どういう訳か、俺と千夏が
結婚してるって分かってるのに
美杏は俺のファンだなんて
堂々と宣言しちゃったもんだから
ヤキモチ妬きの千夏は
俺と美杏が仕事の事で
会話していても割って入る始末。
それをプランニング課の
黄さんはゲラゲラと笑って
「おもしろいねー」なんて
楽しんでるけど。
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