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「大丈夫ですよ。
美杏はあれでちゃんと
わきまえてる子なんで。
加藤の反応を
楽しんでるんでしょう」
「…だといいけど」
支度を済ませ係の人に
案内されて千夏が待つ
ドレッサールームへと向かう。
白木の扉をゆっくりと開けば
鏡の前で純白のドレスに
身を包んだ千夏と、
前島さんと宇佐美…じゃなくて
青木礼子が振り返った。
「小野さんおめでとうございます!
タキシード似合ってますね。
馬子にも衣装って感じで」
「…ありがとう」
結婚して2年も経つのに
相変らず毒舌を吐く青木礼子は
よくよく考えたら千夏とひとつしか
年齢が違わないんだったっけ。
「小野さんおめでとうございます」
静かに頭を下げてくれる
前島さんがやけに大人に
見えるのはきっと
青木礼子のせいだな、
なんて思いながら。
「ありがとう。
次は前島さんと東雲だね」
その言葉に恥ずかしそうに
頷く前島さんに思わず
笑みを零していた俺を
鏡の前からじーっと見つめる
…千夏の目が怖い。
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