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朝日奈の家を出て
俺は千夏を迎えに向かう。
さすがにこのCD-Rは
千夏の目につくところには
置いておけないな…なんて思って
駅のコインロッカーに隠して。
通い慣れた千夏の家の前で
ひとつ深呼吸。
千夏の想いが分かった今、
俺がすべき事はたったひとつ。
覚悟を決めて呼び鈴に指を掛けた。
ドアの向こうから
バタバタと聞こえて来る足音に
思わずクスッと笑みを零して。
開いたドアから
飛び出して来るであろう
小動物を受け止める体勢を
準備してやれば
予想通りに収まった小さな身体。
「おかえり!ユキくん!」
眩しい程の笑顔で迎えてくれた
彼女の想いを丸ごと受け止めながら
俺もめいっぱいの笑みを落として
その思いを伝えた。
「千夏、俺と結婚して」
突然のプロポーズに固まる千夏。
しばし動きを止めていた彼女は
思い出したように声を発した。
「はいっ??」
ま、この反応も想定内。
クスクスと笑う俺に
ようやくその言葉を
理解した千夏は、
顔を真っ赤に染めて怒り出した。
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