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「少しでいいので…ね?」
戸惑うひかりさんの手を引くと
躊躇いながらも付いてきてくれて
すぐに見つけたカフェへと入った。
アイスココアを頼むと
ひかりさんはホットティーを注文して
気まずそうに下を向いた。
無理やり連れ込んだものの、何を話すかなんて考えていなくて、無鉄砲すぎたと少し反省した。
「あの…」
「………」
とりあえず、何か話さなきゃ…
って、言葉を発してみたものの…どこまで踏み込んでいいかも分からなくて…とりあえず…
「あ、あたし…まだ、名前…言ってなかったですよね…」
「……はい」
あたしに対していい印象がないはずなのに、ひかりさんは戸惑いながらも話しに耳を傾けてくれて、
それだけで…人柄の良さが伺える。
「上原 莉子といいます」
「………」
「あの…」
「……ひかり…です。…佐野…ひかりです」
「ひかりさん。あの…あたし…ナ…彼とは…小学校からの同級生なんです」
「………」
いくら本当の名前がナオトだと分かっていると言っても、今までずっとヒサシだと思っていたひかりさんに対して、軽々しくナオトの名前は使えない。
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