命の重さ

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重い体を起こし、テーブルの上に投げ捨てたられたバックから携帯を取り出す。 《アッキー》 こんな時に一番話したくない相手。 出るのを躊躇っていると、手の中で電子音が途切れた。 不在着信の上にある時刻は 21時を過ぎている。 あ、今日… SCARに行こうって言ってたんだ… そんな事を今更思い出しながら、大きなため息を落とすと、再び携帯が鳴った。 プルルルルー… 画面には、《ナオト》 ドクンッと大きく鳴った鼓動は痛みを伴い、この現実から逃げ出したくなる。 …だけどそれじゃダメ そうやって逃げたら、また 大切なモノを失ってしまうから… もう、繋がることはないと諦めていたナオトとまたこうして出逢えたのだから… 今度こそ、ちゃんと伝えなきゃ… 伝えて…二人で…進まなきゃ… 通話ボタンを押し耳にあてると、 「あ、出た」 4年前よりも少し低い声で 「リコ?」 あの頃よりも、優しくあたしの名前を呼んだ。
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