命の重さ

19/26
前へ
/524ページ
次へ
真実を伝える事が正しい事とは限らない。 このまま隠し通した方が良かったのかもしれない。 でも、それじゃあたし達はずーっとあの頃に囚われたままで、いつまでたっても 大切なモノと向き合えないから… 大切なモノを守れないから… 二人でまたあの頃に戻って またそこから始めないとダメなんだ。 「………」 電話の向こうからは、お店のお客さんの話し声が聴こえる。 「仕事中にこんな話ししてゴメンね」 「………」 でも今しないと、また自分の気持ちに蓋をして誤魔化しそうでイヤだったの。 「仕事終わったら、会える?」 聞き逃してしまいそうな低く小さな声に… ドクンッと胸が鳴る。 「……うん」 「早く上げてもらうようにするから…終わったら、連絡する」 「…うん」 プツッー… 耳元で途切れた電子音にたまらない孤独を感じ、枕に顔を埋めた。
/524ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加