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「なぁ。お前って魔力の吸収とかってできる?」
「はぁ。できますけど」
怪訝な顔の狐に俺は言う。
「お前がその漏れてる魔力吸収して勝手に契約済ませてくれると凄くありがたいんだけど」
「あ!その手がありましたか!」
ええ、ありますとも。ありましたとも!
納得がいったのか狐は目を閉ざし、契約の言葉を紡ぐ。
「『我が名は朔夜(サクヤ)。我、主の矛ならんことを欲す。我、主の盾ならんことを欲す。いざ、主従の契約に基づき、我、主の僕とならん』」
おぉ。厨二っぽくてカッコええな。
狐が言い終えると、なんやら俺の右肩辺りが熱くなった。
気になったので見てみると、青っぽい火の玉形のタトゥーが。
「なんぞやこれ」
「私との契約の証です。これで私はあなたの僕。何なりとご命令を」
命令とか言われてもねぇ・・・。
こんな美少女に命令できるかっての。
「あー、そうだな。じゃあ、幾ら主従関係だとは言え、畏まり過ぎだ。もっと普通にしろ。俺としてもやりにくいんでな」
「そ、そうですか。主が仰るのでしたら・・・」
「あ、後、俺のことはリンネって呼べ。お前は朔夜でいいよな?」
「わかりました。・・・何でリンネが私の名前を・・・?」
「いや、だってお前、さっき言ってたじゃん」
「あ、そう言えばそうでしたね!」
何だコイツ天然か?
「まぁいいさ。んで、この辺に街ってある?」
「ええ、ありますよ。この国、カルミナ王国の首都、レストノールが」
「すまんが案内してくれるか?あ、全速力で走って結構。俺付いてくから」
チートなんで。
「了解です。では、参りましょう」
俺たちは森を後にした。
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