第4章 猪突猛進

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「ヴォオオアァァ!」 巨躯が水場から飛び出し、巨大な影ができてジョイに被さった。 獣竜種土砂竜ボルボロス 最初に目に入ったのは頭部だった。 頭部には巨大な冠があり、堂々とした印象を与えた。 また、その下には赤い小さな目があり、その視線は鋭くジョイを射抜いていた。 そして、体を若干揺すり天に向かって、 「ヴァアアアアアア!」 咆哮をあげた。 「くっ!」 その音量にジョイは耳を塞ぎ、しゃがみ込んでしまった。 そして、ボルボロスがジョイに接近を始めた。 「ちっ!」 硬直が解けたジョイはその場から走り始めた。 そして、すぐ目の前まで接近していたボルボロスがジョイに対して頭突きをしてきた。 ドスン 頭突きは空振りに終わったが、その衝撃はすさまじいものだった。 さらに、ボルボロスは一歩足を引いて突進してきた。 ジョイはさらに前転をして距離をとった。 その瞬間風が駆け抜けた。 死の風圧 一言で言えばそうだった。 その強さに冷や汗が吹き出した。 「ふぅ」 ジョイは息を吐き出した。 「....一太刀入れてみるか」 すぐに落ち着きを取り戻したジョイは背中の太刀の柄に手を伸ばし、引き抜いた。 なぜ、こんなことをするのか。 先程言っていたことは何だったのか。 理由は一つ。 同行者がいないから。
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